萌える春秋戦国史  「しゅん☆じゅう」 その7


さて、今日も萌える春秋戦国史の7回目を始めるわよ。


あれ、今回はやけにペースが速いな?


それが来週は更新できる状況じゃなくなったようなのよね・・・


なるほど、それで出来るうちにと。


そう。それじゃ、本編へ行くわよ。








祭足
・・・・・・で?わざわざ兵を使ってまでする話とは?


華父督
わが国に亡命している鄭の公子突の母は我が宋の名門雍氏の出身です。その雍氏が孫に当たる公子突を鄭の国君にと我が君(宋荘公)に要請されたのです。


それで?私には関係ないでしょう。


いえ、それを我が君は承知され、貴方に頼めば事は上手く行くといわれた。よってお願いしたい。


とぼけた事を・・・そんな事をする気も力も私には無い、買いかぶられては迷惑よ。


いえいえ、ご力量のほどは分かっています。


だったらこれは何の真似!?さっさと兵を下げなさい!


・・・承知しなければ命は無い。それでも?


おや?私が力を貸さないと公子突を即位させられないのではなかったの?


軍を出す準備も整えている。


・・・だったら私にかかずりあってないでさっさと兵を出せばいいじゃないの。


いや、出来れば穏便に事を進めたいので、こうして・・・


脅迫に出た?ふざけるのも大概にしなさい!


見え透いたハッタリはやめなさい!合図を出せば兵が飛び出してきて貴方の命は無いわよ!


そうは行かないわ、その前にそちらを人質にとるくらいは造作もない事。


くっ・・・


・・・・・・まぁ、いいでしょう。ただし、このご時世だから国君になれても長生きできる保障はないけど、それでよければ手を貸しましょう。


わかった、それで構わないわ。




一方宋荘公と公子突は


宋荘公
・・・公子突殿、実は鄭の新君昭公からそなたを殺せば城を3つ譲渡したいとの知らせがありました。しかし貴方はわが国の名門雍氏の一族で殺すには忍びありません。いっそのこと鄭の国君の座を奪ってはいかがでしょう?


公子突
・・・そのような事ができるのですか?もし出来るのであれば必ず恩はお返しします。


えぇ、すでにわが国に来ていた祭足殿に協力を要請しています。


確かに、彼がいれば百人力ですが・・・


そのかわり条件があります、まずは国政を祭足に任せること、また貴方の従兄弟である雍糺を鄭の大臣にすること、あと・・・わが国も今は国庫が逼迫しています。何かあれば助けて欲しいのですが、


雍糺
鄭の大夫。前697年没。妻は祭足の娘。宋の雍氏の一族で、鄭に仕えていたものと思われる。


お安い御用です。



こうして、祭足は宋から公子突を擁して鄭に向かう準備をしていたの。


とはいってもそう簡単に国君の座は奪えないよなぁ・・・これは鄭で一戦交えるのか?


そう思うでしょ?ところが事態は意外な方向に進むのよ。



新鄭では


鄭昭公
・・・やはりその噂は真実なのか?


・・・はい、残念ながら。また、宋軍もこちらに向かう動きを見せています。


・・・そうか、下がってよい。


はっ。


・・・やはり以前斉公の娘文姜のことで二度も祭足を怒らせたのがまずかった(その6参照)のか・・・祭足が相手では争ってもどうしようもあるまい・・・




なんとここで鄭昭公は戦わずに衛に出奔してしまったの。おかげで公子突は無傷で鄭窅公として即位したわ。


ありゃま。



・・・まぁ、ともかくこれで手間は省けました。殿下、今日より貴方が鄭の国君です。


うむ、ありがとう。


・・・あ、そこのあなた、この手紙を衛に届けておいて。



昭公へ
なにもあわてて逃げる事はありませんでしたのに。


は、了解しました。


ところが鄭窅公が即位してすぐに宋から賄賂を要求する使者が来たの。最初は適当に払い続けていたんだけどそのうち窅公は耐え切れなくなってきたのね。



・・・しかし宋の要求はしつこい、今までは何とかしていたがこれ以上はどうしようもないぞ。祭足、どうすればよい?


(元々貴方が蒔いた種でしょうに・・・)そうですね、こうなれば魯と斉に働きかけて仲裁を求めるのがいいかと。


なるほど、そうしよう。



そして斉では


斉釐公
・・・鄭から要請?うーん・・・わが国は昭公に北戎の撃退で恩があるわ。悪いけど昭公を追放した窅公を助ける事は出来ないわ。



一方魯では


桓公
・・・ふむ、話は分かった。宋と話してみよう。





ところが宋は魯の意見をにべも無く退けたの。


まぁ、横から口出しした形だからなぁ・・・




そして新鄭では


祭足、どうする?斉は要請を断ってきたし魯の方は失敗したようだが・・・


こうなれば仕方ないですね。宋に攻め込んで一戦交えましょう。


よし、分かった。



一方宋では


何ですって、鄭が攻め込んで来た!?まったく、恩を仇で返すような真似を・・・


わが国単独で戦っては不利です、斉に援軍を求めましょう。


ではさっそく使者を送るように。



斉都・臨淄


え、宋から救援要請!?こちらは南の紀国に出兵しようというのに・・・



一方紀国では


紀の国君
斉が攻め込んでくるですって?!魯に救援要請よ!



・・・なんだかあちこち状況が錯綜してわけが分からなくなってきたな・・・


そうね、とりあえず結果だけいうとこの後斉・宋の連合軍と鄭・魯の連合軍が紀国で激突して斉・宋軍が大敗したの。斉釐公はこの戦いのショックで帰国後まもなく病死。太子の諸児が後を継いで斉襄公として即位したわ。



斉襄公
斉国第十四代君主。在位年は前697〜686年。名は諸児。釐公の子。妹萌え属性の先駆者。


あ、あのリアル妹萌え


その言い方もどうかと思うけど・・・


ところで、これで戦いは一段落ついたのか?


そうね。ただ今度は鄭で祭足と窅公の仲がおかしくなり始めたの。政治面では祭足の方が圧倒的に経験豊富で、国政を動かしていたんだけど窅公はそれが気に入らなくなったわけね。


あ、そういえば以前こんなこと言ってたしな。


鄭荘公
・・・あれは人の上に立ちたがるわ。


新鄭


・・・祭足が有能なのは認めるがこのままでは国政を奴が握ったままで自分は飾り物同然・・・実権をこちらに奪い返すためには奴に死んでもらうしかない。雍糺、出来るか?


は、お任せを。


なぁ、なんかアイコンからし死兆星が出てないか?


気にしたら負けよ。



・・・とはいえどうするか・・・ そうだ、妻は祭足の娘、協力を頼むのが一番だな。



雍姫
雍糺の妻。祭足の娘。夫が父を殺そうとしているのに気付き、夫と父のどちらに従うべきか母に相談するが・・・


・・・・というわけだ。協力して欲しい。


・・・わかりました。




(あの場はああ言ったけれどやはり父を殺すわけには・・・とはいえ夫に逆らうのも・・・)


お母様、話があります。


祭足の妻
ん?急にどうしたの?


父と夫とどちらが大切なものでしょうか。


何を馬鹿な・・・夫は何度でも取り替えられます、でも父は永遠に一人しかいないのよ。どうしてそんなことを聞くの?


うーん、いえ、なんでもないわ。


・・・嫌な予感がするわね・・・



そして数日後


急に呼び出されるとは・・・まさか計画がばれた?いや、妻を味方にしているからそんな事は無いはずだが。


ようこそ、婿殿。まぁとりあえずそこにかけて。今お茶を持ってくるから。


は、はぁ・・・・・・ん、これは?




な!?



殺ったぁ!



ぐふっ!?





ああああ!?


貴方が殺したようなものよ。汚らわしいからさっさと死体を運び出しなさい。



な、なんだって!?暗殺に失敗して雍糺は殺されただと!


こうして窅公は鄭から蔡へ出奔したわ。その後は昭公が帰国して国君として復位したわ。


ふむふむ。



新鄭


殿、以前先君が斉と戦ったために斉との仲が険悪になっています。幸い殿は斉にとっての恩人。これを機会に友好を結びなおしましょう。


うむ、それはいい。祭足、そなたが使者として斉に行ってくれ。


はい、分かりました。



そして斉では


斉襄公
何?鄭から祭足が来た?ふむ・・・確か・・・


諸児・・・祭足は敵に回してはいけない人間よ、それだけは覚えておくように。


そうだな、鄭と友好を結び直すいい機会だ。歓迎するように。





これは斉襄公、ご歓迎痛み入ります。


いやいや、両国に不幸な過去はあったがこれを機会に関係を修復したいと思う、ゆっくりしていってください。


ありがとうございます。


ところが数日後


鄭軍将校
た、大変です!


どうしたの、騒がしい。


新鄭で昭公が亜卿の高渠弥に殺害されました!


何ですって?!分かったわ、すぐに帰国します。





新鄭



高渠弥
・・・・・・


なぜこのような事を?


・・・窅公がかつて先君(荘公)が自分をを上卿に任命しようとしたのをそのとき太子だった昭公が猛烈に反対した、と教えてくれた。(その4参照)それに私は昭公に何故かは知らないが憎まれている。だから殺さなければ殺される。よって殺した。


・・・すんだ事をいまさら言っても仕方ないわね。とはいえすぐに新君を立てないといけないわ。


それなら心配ない。公子亹を立てる準備は整っている。


そう。ではさっそく。


公子亹
鄭国第六代君主。在位年は前694年。荘公の子。有力公子の一人。高渠弥に立てられるが・・・


殿、斉から使者が来ました。友好のため首止(河南省睢県)で会盟を行いたいとの事です。


よし分かった、すぐに向かうぞ!


お待ちください、確か以前殿は斉襄公に無礼を働いたはず・・・行ってはいけません。


何を馬鹿な・・・昔のことではないか、気にするな。


いえ、ですが・・・


大丈夫だ、高渠弥、ついて来い!


・・・私は行かないですからね。




そして首止


・・・どういうことだ?誰もいないぞ・・・



なっ!?


げぇっ!斉軍!


主君を殺した罪は許しがたい、弑君の罪で天誅を加える!



斉軍兵士
ウラーーーーーーー!!!!


うわぁぁ!?



く、くそっ!!



新鄭


高渠弥様が戻られました!


・・・来たわね。貴方だけ戻ってきたという事はやはり・・・


・・・斉軍の奇襲を受けて公子亹は殺された。


だからあれだけ言ったのに・・・、まぁ、斉はそれで気が済んだでしょうからいいでしょう。


これからどうする?


まぁ、適当な公子・・・そうね、公子嬰を立てることにしましょう。


分かった。


鄭子
鄭国第七代君主。在位年は前693〜680年。名は嬰、字は子儀。。有力公子の一人。陳にいたが、子亹が殺されたため祭足に迎えられて位についた。13年間位についていたが、子孫が位につけなかったため諡は無い。



そして数ヵ月後


ふぅ・・・荘公が亡くなってからというものこの国は混乱続きね・・・荘公に仕えてからもう50年、私もそう長くは無いでしょう。そろそろ引退しましょうか。



・・・というわけで、政治から身を引きたいと思います。


分かったわ。許可しましょう。



こうして祭足は政治の表舞台から身を引き、隠居生活を送ったわ。


・・・・・・


お前たちは決して主人を裏切らないから、いい子ね。



祭足が世を去ったのはこの数年後、 紀元前681年と言われているわ。



・・・・・・ついに、天寿を全うしたわね・・・・・・





さて、これで今回はおしまい。


確か鄭の話もこれでおしまいだったな。


そうね、これ以降の鄭は強国の板挟みにあってあんまりぱっとしないから・・・


で、次回はどうするんだ?


そうね、次回は今まで出てきた国と人物の紹介をやって、それから第二部の斉桓公の話へ行く予定よ。


確か私らも出番があるんだよな、楽しみだぜ。







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