萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その31
さて、今回で萌える春秋戦国史も31回目ね。
さて、前回では秦から重耳一行へ迎えの使者が来たところまで話が進みました。
紀元前637年 秦都・雍
秦穆公
おお、重耳殿。よくわが国へ来てくれました。今あなた方を晋へ送り込む準備を進めているところです。それまで・・・
公孫枝
今間者に晋の情勢を探らせています。もうすぐ報告が・・・
晋では太子圉が即位し、晋懐公を名乗りました。それと同時に、重耳様にゆかりのある大夫や親族を次々に捕らえています!
狐偃
え!?まずいわ、まだ国には父上(狐突)がいるのに・・・
狐突
狐偃、孤毛の父で狐氏の長老。晋献公、晋恵公、晋懐公に仕える。
晋都・絳
・・・このような老体を捕らえるとは・・・一体どうされたのですか?
晋懐公
黙れ!貴様の息子の狐偃、孤毛が重耳と行動を共にしているのは明白、早く国許に戻るように命令せよ!
今あの子達を呼び戻すのは君に背く事を教えるようなもの、たとえこの身がどうなろうが、そのようなことが出来るか!
・・・というわけです。晋懐公は手当たり次第に不穏分子と思われる人間を捕縛しているようです。
そしてその後
欒枝
晋の大夫。晋の名門欒氏の総帥。晋懐公を見限り、重耳側に寝返った。
郤穀
晋の大夫。郤氏の傍流ではあるが、無欲な人物で兵法の研鑽に力を注いでいた。本家の郤芮らとはおりあいが悪く、晋懐公を見限り、重耳側に寝返った。
うん、もうあの無能な殿には付いていけないからね・・・わが欒氏一門は公子に協力するよ!
ウチも同じや。大体あの腹黒い郤芮に権力握らせたままやったら後で何があるか分からん。ウチの他にも郤氏からも寝返る連中はいると思うで。
ありがとう〜。これは極秘情報だけど、もうすぐ私たちは秦軍と一緒に帰国するよ。そのときは内応よろしく!
その後・・・
よし、軍の準備も整いました。公子縶!公孫枝!兵3万を率いて晋に向かうように!
黄河河畔 晋国境地帯
私は殿と一緒に天下を回りましたが、その間殿のためにならないこともしてしまいました。だから今お暇したいと思います。
そ、そんな・・・だめだよ、もし帰国しても狐偃たちと心を同じくしなければ。そうでない者は天罰を受けるように!
介子推
・・・殿の開運は天のなした業ではないのか・・・それを自分の手柄のようにして報酬をねだるとは・・・こんなところにいていいのか・・・
さて、そんなことはありましたが重耳一行と秦軍は順調に前進し、晋軍の前線基地令狐城まで進軍しました。
公子縶
さて、ここまでは順調に来たが・・・どうやら令狐城の城主は郤芮派の大夫のようですな。守りも堅そうですが、ここは力押しで攻め落とすしか・・・
いや、ちょっと待って!ここで下手に消耗戦になるのは良くないよ。何とか説得してみましょう。狐偃、お願い!
それが、降伏の条件として人質が欲しいって・・・どうやら降伏しても本当に許されるか怯えているようね。
え!?それは危険すぎない?もしも向こうが妙な考えを起こしたら・・・
令狐城
令狐城城主
エ!?マサカジブンノ嫡子ヲ人質ニダスナンテ・・・ワカリマシタ。降伏シマス!
・・・来てくれたね。このまま驩を預けておくよ、しっかり守ってちょうだい。
そしてその頃、郤芮、呂甥に率いられた晋軍が到着します。彼らは令狐城からの支援を受けてから秦軍と戦おうとしたのですが・・・
晋軍陣営
郤芮
くそ、どういうことだ!?令狐城の支援を当てにしていたのに・・・このままでは前後から敵を受ける事になるぞ!
呂甥
それに他の大夫どもの動きも怪しい。欒氏はもとより韓氏、士氏、荀氏(いずれも晋の名家)もいつ裏切るかわからん・・・
秦軍陣営
さて、晋軍も出てきたが・・・どうも見た限りかなり戦意が低いようですね。
公子は帰国された後、恵公や懐公に協力した郤芮、呂甥らの大夫を処刑されるつもりですか?
いいえ、彼らは彼らなりに主君に忠義を尽くしただけ。殺す事はないよ。
晋軍陣営
私は秦の公子縶です。秦と晋、2国の争いを避けるためここに来ました。
・・・条件次第では投降してもいい、だが、投降しても公子重耳が我々を許してくれるか?
安心して欲しい、公子は話の分かるお方だ。これから忠誠を誓うのなら、過去の罪は問わないとの事だ。
こうして、ついに郤芮、呂甥も投降し、晋軍を丸ごと組み込んだ重耳たちは晋の首都・絳へ向けて進軍します。
晋都・絳
こうして晋懐公は都から北の高梁というところまで逃亡しました。この後公子重耳が絳へ入城、晋文公を名乗ります。
ええ、この直後、晋懐公は高梁の住民にも見捨てられ、捕縛されます。
晋北部・高梁
今回の死亡者
狐突
狐偃、孤毛の父で狐氏の長老。晋献公、晋恵公、晋懐公に仕える。息子たちを呼び戻すよう晋懐公に命令されたが拒否して殺された。
晋懐公(太子圉)
晋国第二十三(二十一)代君主。名は圉。恵公の子、母は梁嬴。前636年没。
生まれる時に人の臣になるだろうと占われたので、圉と名付けられた。秦の人質となっていたが、晋へ逃げ帰って位についた。伯父の公子重耳の帰国を恐れ狐突を殺したが、重耳の帰国を阻むことはできず、高梁で殺された。
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