萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その32


さて、今回で萌える春秋戦国史も32回目ね。


あれ、また今回から説明役が変わるのか?


そうね。またいろいろあったみたい。


ふーん。


今回からは晋文公が覇者へと上る過程を描いていくわ。






さて、前回は晋文公が帰国し、晋の君主として即位したところまで話が進んだわ。


ふむふむ。


ところが、投降した郤芮、呂甥の2人が陰謀を企てたの。


あれ、前回で処罰はされないと分かったんじゃ・・・


元々2人が投降したのは強大な秦軍に圧倒されたからね。それに文公は帰国しても人事や論功行賞に手をつけていなかったの。本当は手が回らなかっただけなんだけど・・・二人はこれに疑心暗鬼を抱いたわけね。


なるほど、恩賞のために自分たちの領土が削られると思ったということか。


そういうこと。こうして2人は反乱を起こすために徒党を集めようとしたんだけど・・・



紀元前636年  晋都・絳


呂甥
くそ・・・人数を集めようにもさっぱり我々に同調しようという大夫がいないとは・・・


郤芮
元々先君の恵公とその子の懐公は人望が無かったとはいえ、これはまずいな・・・


・・・そうだ、あいつなら我々に協力するはず・・・


誰の事だ?


宦官の閹楚だ。奴はかつて重耳を殺しかけ、放浪中も付け狙ってたという。重耳にとっては不倶戴天の敵だ。奴なら必ず我々に協力するだろう。


なるほど・・・それはいい。


閹楚
こんな夜中に呼び出されるなんて・・・何の用?


よく来てくれた。実は・・・


・・・重耳を殺すだけでいいの?


ああ、そうで無ければお前もまもなく処刑されるだろう。重耳を殺して他国に亡命すればよい。


私は亡命なんてしたくないわ。この国がいい。


何?


重耳を殺した後に、新しく君主を立てることを考えてみて。かつて献公の子は多くいたけど、いまや生き残りは重耳と息子の太子驩だけ。でも・・・



秦穆公に嫁入りした公女がいるわ。秦穆公と交渉してその息子を迎え入れれば、秦が我々の後ろ盾になる。亡命なんてしなくてもいいわ。


なるほど・・・


よし、その手で行こう。郤缺!急いで手勢を集めよ!3日後に宮城を襲って火をかける!


はい・・・(反逆をしたくはないけど・・・これも定めね・・・)


郤缺
郤芮の子。父と違い、温厚な人柄で人望も厚かった。しかし・・・





(・・・彼らはやる気になったわね。でも・・・)



その夜 文公の屋敷


晋軍兵士
おい、何者だ!


私は閹楚よ。夜分ではあるけど、文公にお会いしたい!


なっ!?閹楚だと!?



魏犨
なんだなんだ、騒がしいぞー!


え、閹楚です、閹楚が出ました!


な、なんだってー!殿を殺しに来たのか!?


緊急事態を伝えに来たのよ。殿に取り次いで欲しい。


ハァ?!誰が刺客を取り次ぐか!帰れ帰れ!


殿のお命に関わる事よ!


(゚Д゚∩)アーアーキコエナイ


・・・・・・


胥臣
待って。とりあえず話だけでも聞いてみましょう。


うーん、そう言うなら・・・


その後


晋文公
・・・・・・一体いまさら何の用?さっさと終わらせなさい!


狐偃
かつて殿にあなたが何をしたか忘れたわけでもないでしょう?このまま出てこなければ見逃そうと思っていたのに、なぜおめおめ現れたの?


・・・桀帝(暴君)の犬は堯帝(聖帝)に吠えるといいます。間違って吠えるのでもなければ勝手に吠えるのでもありません。全ては主君のためです。いまや献公も恵公も世を去りました。今は新君文公が主君です。その主君のためにお役に立ちたいと、ここへ来ました。


・・・!


続けて。


実は、郤芮、呂甥の2人が・・・


説明中


な、なんだってー!?


・・・そういえばあの2人の様子が最近おかしいと思っていたけど・・・やはり・・・


3日後に2人は挙兵して宮城に火を放ち、秦へ向かうつもりです。殿はその前に秦へ向かい、秦穆公にお会いすべきです。


よし、分かったわ。私と魏犨が殿について秦へ向かうわ。胥臣は太子驩をつれて一度都から離れていて、他の者は宮城近くに兵を伏せて置きなさい!




そして・・・


よし・・・計画通り・・・宮城の警備も薄いな。


火を放て!



よし・・・これで重耳も生きてはいまい。


我々はこれから秦へ向かう、郤缺、お前は他の大夫達が宮城へ近づけないようにしておけ!


はい、分かりました。







父上たちは秦へ向かったわね・・・さて・・・



なっ!?


先軫
反逆者は、許さない・・・


前進!反乱軍を殲滅しなさい!


容赦はいらないよー!


士会
士蔿の孫。晋の名家士氏の末子。末子という立場上家を継げる立場には無かったが、後に・・・


狐射姑
狐偃の子。賈季と呼ばれる。後に・・・



突撃!


ウラーーーーー!!!!



くっ・・・読まれていたわけね・・・後退!


反乱軍、敗走していきます。


このまま追撃をかけるかな?


いや・・・まずは宮城の騒ぎを鎮めてから。それから兵を集めて追いかける。


それでは、逃げられてしまうのでは・・・


心配は要らない。


・・・?


一方・・・


よし・・・この河を渡れば秦に入れるな。


先に渡らせた者たちから連絡が来た。秦穆公は我々を歓迎してくれるらしい。


うむ・・・




秦都・雍


秦穆公
おお、よく来てくれましたね。まずは・・・



ありがとうございます。


・・・ところで、珍しい客人が来ているの。あなた方にも紹介しましょう。


・・・?


ジャーンジャーン



げぇっ、重耳!?


ど、どうしてここに!?


あんたらの浅知恵は、疾うにお見通しよ!


郤芮に呂甥。許すといったのに私に一体何の恨みがあったのかな?とりあえず言い残す事があれば言ってごらん。


小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK?


・・・こういうこともあろうかと、反乱の密告を最後までとっておいて良かったわぁ・・・


閹楚!?


ギザァバ!ルラギッタナ!


何でオンドゥル語?それはともかく、私は常に晋の公室に忠誠を誓うのみ、あなた方反逆者なんかと手を組んだ覚えはないわ・・・


くっ・・・このまま死ねるか!


むっ・・・衛兵!


秦軍兵士
はっ!


ぐふっ!?



くっ・・・こうなれば重耳だけでも・・・


!・・・無礼者が!



ぐおっ!?



よし、これで一安心ね、あなた方には秦から護衛兵を出します。彼らと共に国にお帰りください。



一方、その頃、晋国境地帯では・・・


おかしい、父上たちの姿が見えない・・・一体何が・・・



何っ!?


反乱軍兵士
お、追っ手です!


これまでのようね・・・



・・・追いついた。攻撃開始。


ウラーーーーーー!!!!


こうして、郤芮、呂甥の二人は殺され、彼らの手勢も壊滅したの。しかし・・・


?何かあったのか?


それはこの後を見てみてね。


・・・おおむね敵は殲滅したわね・・・一応河畔も調べてみますか・・・


!士会様、舟が見えます!


・・・調べてみましょう。


はい。ん・・・これは!?


・・・・・・


郤氏の者ね・・・負傷しているみたいだけど・・・


・・・私を殺す気?


いえ・・・もう大勢は決したわ。これ以上無益な血を流す事も無いでしょう。このまま向こう岸に渡る?


・・・私は君主を討とうとしたわ。罪は深い・・・このまま舟を川に流して・・・後は運を天に任せるわ・・・


・・・分かったわ。





今回はここまでかな?


そうね、次回も晋文公の活躍が描かれます。


それでは、また次回。



今回の死亡者および行方不明者


郤芮
晋の大夫。前636年没。字は子公。郤豹の子、郤称の弟。冀芮。恵公の側近中の側近。夷吾(恵公)と常に行動を共にし、帰国して夷吾を位につけた。有能な人物だが、恵公を諌めるということがなく、国内をうまく治めることができなかった。冀に領地をもっていたので冀芮とも呼ばれる。文公を殺そうとしたが、失敗して殺された。


呂甥
晋の大夫。前636年没。字は子金。瑕呂飴甥。陰飴甥。恵公派の大夫の一人で、郤氏の一族であるという。夷吾(恵公)の帰国を国内から支援し、帰国後も州兵を設けるなど策を献じた。本名は瑕呂飴甥というが、省略して呂甥または瑕甥と呼ばれる。また、陰飴甥とも呼ばれる。瑕・呂・陰は領地の名であるという。文公を殺そうとしたが、失敗して殺された。


郤缺
郤芮の子。父と違い、温厚な人柄で人望も厚かった。しかし、晋文公の帰還後、父の企てた反乱に参加、消息不明となる。




なお、アイコンは以下のサイトから使用させていただきました。


ぶらんけっと様
眠りの園様
まこっちゃん記様
し〜くれっとも〜ど様
みょふ〜会様