萌える春秋戦国史  「しゅん☆じゅう」 その43


さて、今回で萌える春秋戦国史も43回目ね。


今回は南方の楚を中心に話を進めていくぜ。





さて、前回楚穆王が亡くなって楚荘王が即位したのは知っているわね。


確かその後即位してからずっと日夜遊びほうけていたんだっけ?


そう、荘王は即位後3年間まったく政治を見ようとしなかったために楚国の政治状態はひどい事になっていたの。


まぁ、そりゃそうなるわなぁ・・・


しかも追い討ちをかけるように飢饉に襲われるわ周辺の属国が反乱を起こして楚の首都まで迫る勢いを見せたの。


オワタ\(^o^)/


さて、舞台はそんな大ピンチのところから始まるわ。


紀元前611年   楚都・郢



うーん、国内の政治は乱れおまけに都には敵が迫っている始末・・・このままではいけませんね。なんとか王に目を覚ましてもらわないと・・・


蘇従
楚の大夫。国を憂いて楚荘王に諫言を行った。


殿、お楽しみ中失礼します。


楚荘王
蘇従?一体何の用?まさかあたしに諫言でもしに来たの?諫言した奴は死刑って言ったのを忘れたんじゃないわよね?


はい、たとえ殺されても殿がお目覚めくだされば本望です。


・・・・・・


いえいえ、諫言ではなくただのおしゃべりならそのような覚悟は必要ないですよ、ですよね、殿?


伍挙
楚の大夫。楚荘王の側近。


殺すぞ、殺されても本望でござる・・・などという話はこの場にはふさわしくないですね。それより謎かけ遊びでもいかがですか?


???


まずは殿からですね。ある山の頂上に大きな鳥が止まっています。三年間もの間じっとして鳴かず飛ばず。さて、それは何の鳥でしょう?


・・・そうね、三年も飛ばなかったから飛び立てば天まで届き、一旦鳴けば、人を驚かせるでしょうね。


さぁ、次は蘇従殿の番ですよ。殿のお言葉にかけてお答えくださいな。


ならば殿、その鳥はいつ飛び立ち、そして鳴き出すのでしょうか?既に三年が経ちました。お願いです、早く天に羽ばたく勇姿を、人々を驚かす泣き声をお聞かせください。その鳥の止まっている山が崩れそうになっています。どうか、一刻も早く飛び立ってください。


わかったわ、さぁ、今から飛び立つわよ。すぐに緊急朝議を開いて群臣を集めなさい!



・・・そろそろ集まってきましたね。おや?その帳簿は・・・?




あ、これ?とりあえず渡しておくわ。名前の上に×がある奴は右、それ以外は左に並ばせなさい。


は、はぁ・・・


さて、全員集まったわね。まず、ここで大規模な人事異動を行いまーす!



まずは右側に座っている皆様・・・全員・・・死刑!




全員心当たりはあるはずよ?何しろ3年の間じっくり勤務評定をしていたからね・・・


ううっ・・・


さぁ、連れて行きなさい!


アッー!


さて・・・それからここに迫っている敵軍のことだけど・・・ 蔿賈、あなたに軍を預けるわ。直ちに出撃して敵を叩き潰しなさい!



はっ!


蔿賈
楚の大夫。軍事に優れ、楚王の信頼を得た。



こうして、楚荘王は即位して3年後にそれまでの態度を一変、数百人の臣下を処刑、また同時に数百人の臣下を昇進させたわ。さらに蔿賈に命じて楚に攻め入った敵軍を一掃したの。


おおー。


この故事からじっと機会を待つ状態の事を「鳴かず飛ばず」と言うようになったわ。さて、一方の晋の方なんだけど・・・



晋都・絳


士会
なんですって、楚ではそのような事が・・・?


郤缺
ええ、まだ楚の国内が完全に治まるには時間がかかるでしょうが、いずれ確実に楚はこちらへ兵を向けるでしょう。


・・・ですが、今わが国の状況はお世辞にもいいとは・・・特に・・・


殿があの調子では・・・



この二人が言っているように晋の君主霊公はお世辞にも名君とは言いがたい人物だったの。


アイコンから予想はしてたがやっぱりか・・・


国民に重税を課してそれで宮殿を飾り立てたり宮殿の上から石つぶてを弾いて通行人を傷つけて喜んだり。挙句の果てには・・・



晋霊公
・・・おい、熊の掌の煮込みを持ってこい!


料理人
はい、ただいま。


・・・何だこれは、固い、煮えていないじゃないか!死ねぇっ!


ぎゃー!?



ええい、無礼者め・・・死体は片付けておけ!




晋 宮廷内


ふう、今日の仕事もひと段落ですね。


趙盾
ええ。ん・・・あれはなんですか?モッコから人の足が飛び出していますよ!?




ちょっと、そこのあなた、これはどういうことですか!?


え、いや、それがその・・・


・・・なんと言うことを・・・


ここは私が諌めてみましょう、正卿のあなたが殿を諌めて聞き入れなければ後に続く人がいなくなります。


ええ・・・


殿。


・・・・・・


私が何を言いたいかおわかりですか?


・・・わかっている、今後は改めよう。


・・・人は誰にでも過ちがあります。過ちを改める事が立派な事なのです。


さて、こんな事はあったけど相変らず霊公は行動を改めなかったの。そんな時に楚軍がついに晋の盟下にある宋と陳に侵入したわ。


ふむふむ。


ただし楚軍はすぐにこの両国から兵を引き上げて鄭に向かったわ。趙盾は晋軍を率いて宋・陳・衛・曹と連合軍を形成、鄭に向かう事にしたの。


え?晋軍が近づいてくる?ふーん、君主がボンクラのわりには動きはいいわね・・・さて、どうしましょうか・・・


殿、ここは私にお任せを。


蔿賈ね。兵はそんなに残せないけど、大丈夫?


戦が数だけでは決まらない事を見せてやりましょう。




鄭国内・北林の地


ふむ・・・鄭軍と楚軍の動きは見えませんか・・・後続の部隊も遅れているようですし、今日はここに陣を張りましょう。明日兵をまとめて新鄭の攻撃にかかります!


晋軍兵士
ははっ!




ふっふっふ・・・すっかり油断しているようね。


楚軍兵士
連中、もう勝ったと思っているようですな。


なら、教育してやりましょう。全軍、攻撃開始!


ウラーーーーーー!!!!!



なっ!?何事ですか!?


楚軍の奇襲です!


ここで攻撃とは・・・連中、先にここに兵を伏せていたようですぞ!


解揚
晋の大夫。胆力に優れた晋の勇将。


くっ・・・敵は大軍ではないはずです、防ぎなさい!


駄目です、兵が浮き足立って止まりません!


くっ・・・後退、後退!


敵が崩れたようね・・・追撃しなさい!


それ、捕らえよ!


ぬぅっ!?こしゃくな!



・・・何とか脱出できましたが・・・解揚はどうしました?


それが、姿が・・・おそらく捕らえられたものと思います。


・・・ここは撤退する他ないわね・・・



この北林の戦いで晋は大夫の解揚が捕虜になるほどの敗北を喫したわ。


今回はここまでかな?


そうね。次回は春秋時代でも屈指のネタ事件を扱う事になるわよ。


それでは、また次回に。





なお、アイコンは以下のサイトから使用させていただきました。


ぶらんけっと様
眠りの園様
まこっちゃん記様
し〜くれっとも〜ど様