萌える春秋戦国史「しゅん☆じゅう」その18
さて、今回で萌える春秋戦国史も18回目ね。
さて、前回は中原に侵入した楚軍との戦いまで話が進みました。この後、しばらく楚は鳴りを潜める事になるのですが今度は北の異民族である北戎や狄が中原諸国に侵入を開始したのです。
まぁ、やはり中原は土地が豊かで人が多い分、奪うものも多いと思われているのでしょうね。それに、前までは楚も異民族(南蛮)扱いでしたし。
紀元前664年 北方の大国燕の首都・薊
燕軍兵士
殿、た、大変です!北戎の大軍が国境を越えて我が領内に侵入してきました!
燕荘公
燕国第十七代君主。在位年は前690〜658年。桓侯の子。山戎に攻められたので斉に救援を要請し、斉軍に山戎を討伐してもらった。春秋時代の燕国君主で記述らしい記述のある数少ない人物。
そ、それがこのところ連続して北戎の侵入があったため軍の損耗が・・・現有の兵力では防ぎきれません!
斉の首都・臨淄
管仲
殿、隣国の燕から援軍の要請が来たぜ。どうやら北戎が大挙して燕に雪崩込んだようだ。
斉桓公
なんですって!?うーん、どうするべきかしら?
鮑叔
すぐに援軍を出すべきでしょう。燕がここで敗れれば北戎はわが国や中原諸国へも侵攻します。
分かったわ、それでは今回は私が直接出陣します!管仲、それと・・・隰朋、付いてきなさい!
こうして、斉桓公は燕の救援のために出陣しました。この時北戎の撃退そのものはあっさり終わったのですが・・・
斉・国境付近
斉桓公、救援感謝いたします。おかげで我が燕は救われました。
そうにょろ!国境を越えて見送りが出来るのは相手が天子(この場合は周王)の時だけ、こんな時はお互い国境まで送るのが礼なんだけど、どうしよう!?
うーん・・・そうだな、こうしよう、殿にこう伝えてくれないか・・・(ヒソヒソ)
一体管仲は何を言ったの?
ええ、この時斉桓公は自分と燕荘公の間に溝を彫ってそれを燕と斉の国境線としたのです。当然斉は領土を失った事になりますが、これが元で斉桓公の名はさらに高まりました。
損して得をとれってことかしら?それにしても気前がいいわねぇ・・・
この後数年間は異民族の侵入も無く平和が続いたのですが紀元前662年、今度は魯で事件が起こります。この年に魯荘公(第11話〜第14話に登場)が在位32年で病死したのですが、次に即位した息子の公子班が叔父にあたる慶父(荘公の弟)に毒殺され、公子啓が魯閔公として即位しました。この時慶父に加担した叔牙(荘公の弟)が季友(荘公の弟)に殺害され、季友が陳に亡命する事になります。
季友
第14話に登場。魯荘公の弟。成季とも呼ばれる。魯荘公死後の政変を治め、公子申(魯釐公)を擁立した。
つまりお決まりの兄弟による権力闘争ってことね・・・ところで、どうして季友は政変の始末に斉を頼らなかったのかしら?
実はこの時慶父に手を貸していた魯荘公の夫人哀姜が斉の公女だったのです。
この一年後、さらに慶父は自ら魯公の位に就くべく哀姜と組んで魯閔公を謀殺したのですが朝臣や国人から猛反発を受けました。
しかもこの時季友も帰国して慶父を攻め立てたため慶父は進退窮まって自決しました。この件はこれでよかったのですが・・・
斉都・臨淄
さて、管仲、魯の政変のことなんだけど・・・どうするべきだと思う?
いくら身内の人間でも立て続けに国君を殺害したようなのを生かしておくわけにも行かないな・・・ここはやはり。
魯の属国・邾
どうしてこんな事に・・・でもまだ実家の斉に戻れば何とか・・・
・・・私は斉からの使者です。斉桓公からの伝言を伝えます。「貴方はやりすぎた。」と。
・・・任務完了・・・死体は病死したことにして魯に送り返しましょう・・・
こうして哀姜も謀殺され、魯の政変は一段落します。この後には魯釐公が即位しました。
魯釐公
魯国第18代目の君主。公子申。魯荘公死後の政変の後、季友によって擁立された。
しかし本当に穏当な政権交代がない時代ね・・・
さて、次はまた時代が少し進んで紀元前660年です。この年の末、衛に北狄(異民族)が侵入したのですが・・・
当時の衛の国君は以前(17話)に出てきた衛懿公なのですが、彼は鶴が好きで大臣の乗る車に鶴を乗せたり鶴に位を与えたりしていたのです。
なんか古代ローマにも馬を元老院議員にしたのがいたけどそれより前にそんなのがいたとは・・・
しかも鶴の食事の方が軍隊の食事より豪華という有様。ここまでくればもう分かると思いますが・・・
まぁこのキャラの場合登場即DEAD ENDフラグが立つわけですが。
紀元前660年 衛の首都・帝丘
衛軍兵士
殿、北狄が国境を突破して領内に雪崩込んできましたぞ!
兵士B
何故我々が兵士より鶴を大事にするような奴のために戦わねばならない?
兵士C
鶴を使えばいいだろう、あいつらは位や車を貰って俺らよりいい食事をしている、俺らにはそんなもんはない。
・・・というわけで兵は動こうとしません。ついでに北狄は既に城内に突入しました。
北狄兵士
ウラーーーーーーーー!!!!
斉都・臨淄
管仲、衛に北狄が攻め込んだようだけど、援軍を出さなくていいの?
おんぶに抱っこでは困る。自ら助かろうとしない国を助けても仕方がない。・・・とはいえ、本当に衛に滅亡されても困るか・・・そろそろ援軍を出そう。
この後、斉軍が出兵して北狄を撃退し、新しく衛文公が即位して衛の再建に取り組む事になりました。
今回の死亡者
慶父
魯の公子で、魯荘公の弟。荘公の死後、荘公の夫人と組み、政変を起こすが、国人らの反撃を受けて自決する。
哀姜
斉の公女、魯荘公の夫人。荘公の死後、慶父と組んで2人の国君を殺害するが、斉の刺客に殺される。
叔牙
魯の公子で、魯荘公の弟。荘公の死後の政変で慶父に協力するが季友の反撃を受け殺される。
公子班
魯の公子で、魯荘公の息子。荘公の死後、位に就くがすぐに慶父に殺害された。
魯閔公
魯の公子で、魯荘公の息子。公子班の死後、位に就くがすぐに慶父に殺害された。
衛懿公
衛国第17代目の君主。名は赤。衛恵公の息子。鶴が好きで贅沢を好んだため、大臣も臣民も服従しなかったといわれる。北狄が衛に侵入した際、家臣や兵からも見捨てられ殺害された。
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