萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その22

さて、今回で萌える春秋戦国史も22回目ね。


今回から第3部ということで新しく晋・秦といった国々がメインとなっていきます。






今回からは少し時代が遡って晋という国にスポットを当てて見たいと思います。この国は中原諸国の中では西北に位置した大国なのですが、紀元前745年から678年までの間翼城(本家)と曲沃城(分家)の間で長い間内乱が続いていました。


あ、それで今まで歴史に登場してこなかったわけね。


そうですね。しかし、紀元前678年、晋武公の代になってようやく統一が完成します。


晋武公
曲沃の第三代君主。後に晋侯となる(第十八代君主)。在位年は前715〜677年。名は称。荘伯の子。度々翼を攻め、哀侯・小子侯・晋侯緡を殺し、翼を滅ぼした。周室に賄賂を贈って晋侯として認められ、代々の悲願を果たした。


ふむふむ。


この晋武公は統一後すぐに世を去り、晋献公が即位します。



晋献公
晋国第十九代君主。在位年は前676〜651年。名は詭諸。武公の子。武公の子で、内乱後に即位した最初の君主。近隣の国々を攻め滅ぼし、晋が超大国となる基盤を築いた。しかし、驪姫を寵愛して後の乱の原因を作る。なお、武公には他に伯喬(羊舌氏の祖)という子があるので、献公は次男または三男であったと思われる。


晋献公は戦乱の時代に生まれ育ったせいなのか、武勇に優れ、統一後近隣の小国をを次々と併合していきました。その中の一つに驪戎という小部族がありましたが、ここにある人物が登場します。



実は晋献公は女好きでも知られ、この驪戎を討伐した際にある美人の姉妹を手に入れたのです。これが紀元前672年の事ですね。


あ、まさか・・・


そうです、彼女こそが後に晋に混乱をもたらす驪姫です。


驪姫
献公の夫人。前651年没。驪戎の娘。おそらく驪戎の族長の娘であると思われる。驪戎討伐の際に妹と共に晋に連れて行かれ、献公の夫人となった。献公の寵愛を受けて奚斉を産み、祖国を滅ぼした晋に復讐するべく策をめぐらせる。



晋の首都・絳


はっはっは、驪戎討伐は上手く行ったし、評判の姉妹も手に入れることが出来た。うかうかしていたら斉桓公(この時点でまだ存命中)に取られる所だった。




・・・・・・



あら、お姉さま、どうしたの?


小姫
献公の夫人。驪姫の妹。驪姫と共に献公に嫁ぎ、卓子を産んだ。


・・・いえ、なんでもないわ。


それにしても晋の都は立派ねぇ・・・私たちの国なんてここに比べると本当に田舎ね。


あたしには、田舎の方が合っているわ。ここは騒がしすぎる・・・


帰りたいの?


いいえ、いまさら帰れないわ。それに、しなければいけないこともあるし・・・



(・・・復讐。この国をずたずたにしてやる。懐かしい祖国を踏みにじった晋に復讐するためなら・・・)



さて、そして時は流れ、紀元前665年、晋献公に寵愛された驪姫は奚斉という子を生む事になります。



おお、男の子が生まれたのか!よし、ゆくゆくはこの子を太子に立てよう。



あれ、この時点で晋に太子はいなかったのかしら?


いいえ、既に申生という公子が太子に立てられていました。また、重耳、夷吾という有能な公子もいました。


申生
晋の公子。前656年没。諡は共、または恭。献公の子、母は斉姜。太子申生。共太子。献公の太子であったが・・・・・・


重耳
公子重耳。献公の子で有力公子の一人。後に・・・


夷吾
公子夷吾。献公の子で有力公子の一人。晋の名家郤氏の補佐を受ける。


なんというかこの時点で既にお家騒動の予感が・・・


いえ、既に太子には申生さまがおなりです。諸侯の皆様も太子は申生さまとお認めになっておりますのに、ここで廃立なさってはいいけませんわ。


うーむ、そなたはなんと心のまっすぐな女であろうか。


この一件以降、ますます晋献公は驪姫を寵愛し、3人の公子を遠ざけようとしました。そして数年後・・・


紀元前664年


我が晋には3つの要地がある。まず先祖の宗廟のある曲沃、西の秦と国境を接する蒲、そして北の狄と接する屈である。この3つの拠点にそれぞれ我が子を駐屯させ、守りを固めようと思う。曲沃には申生、蒲には重耳、屈には夷吾が向かうように。


はい、父上、分かりました。


あと、士蔿よ。蒲と屈の城壁を補修し、防備を固めるように。


はっ。


士蔿
晋の卿。字は子輿。隰叔の子または孫。献公の腹心。献公の命で桓・荘の族を滅ぼし、その功により大司空の官職を賜った。


そして数ヵ月後


殿、蒲と屈の城壁の補修が終わったで。


ん?妙に早く出来上がったようだが・・・


ああ、どうせ近いうちに攻め落とす事になるんで攻撃しやすいようにしておいたで。


・・・・・・


さて、そんなことはありましたが、数年の間特に事件はおきませんでした。ところが、あるとき申生が絳に参内した時・・・


申生さま、申生さま。


あ、これは驪姫様、ご無沙汰しております。


こちらこそお久しぶりです。申生さまは花がお好きとききました。明日の昼に、宮殿の植物園にいらしてください。私が丹精込めて育てた見事な牡丹をお見せしますわ。


それは楽しみです。分かりました、では明日・・・





殿、申生さまはご冗談のお好きな方のようですね。


何?まさか・・・奴はいつもしかつめらしい顔をしている、冗談を言うようなタイプでは・・・


あら、それでは申生さまはあなたに対してと私に対しての態度が違うのかしら。


ふーん、そんな人間だったかな・・・?


今日も、きわどい冗談を・・・


何?何と言ったのだ?


それは、恥ずかしくていえないような・・・


何だと?


だって・・・お祖父さまは亡くなって、私の母を父上に遺した(申生の母は晋武公の元夫人)、父上も高齢なので、亡くなればそなたを私に遺してくれるだろう、などと・・・


何!?あやつめ・・・


それから、私を明日宮殿の植物園にお誘いに・・・もちろん行きませんが・・・


信じられん!


明日の昼に、ここから植物園をごらんになってください。お分かりになるかと思います。



そして次の日・・・


・・・遅いですね、驪姫様はどうしたんでしょう・・・(そわそわ)


すみません、遅れました。


ああ、これは・・・


牡丹の鉢はこちらにあります。どうぞ・・・


む、あれは驪姫に申生・・・まさか・・・


よっ、と・・・あ、は、蜂が!?


驪姫様!?


おねがい、蜂を追ってさい!


怖がらなくても大丈夫です、私が追い払いますから。


ああ、でもどんどん数が・・・!


あ、待ってください!


お、おのれ申生め!嫌がる驪姫を追い回すとは・・・!


ああ、殿! ・・・これで昨日私が言った事も信じていただけると・・・


申生のやつ、あのような真似を・・・すぐに処分してくれる!


お待ちください!今申生さまに手を出せばこの国はバラバラになってしまいます!申生さまは従う大臣も多いゆえ、準備無しにそのような事は・・・どうか今日のことは、水に流してくださいませ。


うむむ・・・わ、わかった。


お聞き届けくださりありがとうございます。私はこれで・・・



別室


ふふふ・・・蜂を呼ぶために簪に蜜を塗っておいた甲斐があったわ・・・そうよ、まだ早いわ。この国に混乱をもたらすのは・・・まだ復讐の時には・・・




さて、今回はここまでといったところですね。


なんという不穏な空気・・・


それでは、また次回に。



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