萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その29


さて、今回で萌える春秋戦国史も29回目ね。


今回も前回に引続き亡命公子重耳にスポットを当てていきます。







紀元前643年  斉国境付近


重耳
ううう・・・お腹が空いた・・・


狐偃
・・・衛でほとんど物資を手に入れられなかったのが痛かったわね・・・何とか斉に入れば・・・


孤毛
馬車も無いから足が痛い〜・・・


趙衰
・・・絶対に・・・戻ったら復讐です・・・


魏犨
うー、暑いよ・・・


胥臣
もう少しで斉に着くから、それまで頑張って・・・


先軫
・・・・・・(ふらふら)


介子推
皆ぼろぼろになっている・・・先行して食料を探さないと・・・


その後


ふぅ、少しだけど何とか食料と水が手に入った・・・早く届けないと・・・


閹楚
・・・・・・


ん?!閹楚・・・! この状態じゃ戦えない・・・


随分ひどい有様ね・・・


・・・ふん、斬りたければ、斬れ・・・


自惚れの強い男ね、あなたのような下っ端を斬れなどという命令は受けていないわ・・・


・・・僕をここで殺さないと、後で後悔するぞ。


・・・公子やあなたたちは今苦難の中にいるわ。からだは動かずとも、心は公子のために一つになっている・・・そこに斬り込んでも隙は無い・・・ふふ、でも公子がどこかの国で厚遇され、苦難を忘れればどうなるか・・・そのときこそ私の剣が働く時・・・では、臨淄で待っているわぁ・・・


・・・・・・



こんな事はありましたが、ともかく重耳一行は斉の首都臨淄に到着しました。


斉都・臨淄


桓公
おお、あなたが公子重耳ね。話は聞いているわ。随分苦労したようね・・・この国でどうかゆっくりしてね。


あ、ありがとうございます・・・


この時斉桓公は重耳に貴族並みの待遇を与え、さらに公女の一人を娶わせるという厚遇をしました。


桓姜
桓公の娘。斉に亡命した重耳と結婚した。



その後


さて、今日は郊外に花見に行こうかー。


うむ、それはいい考えじゃな。





・・・重耳はほとんど護衛も付けずに郊外に出たようね・・・今がチャンス・・・




さて、暗くなってきたしそろそろ帰ろうか。


そうですね・・・ん?


謎の集団
ウラーーーー!!!!


な、何?!こいつらは!


ここは私たちで防ぎます、殿は早く先に!


わ、わかった!



ふふ・・・逃げてきたわね・・・今日こそその首頂くわ・・・


待てっ!


その声は・・・介子推・・・!随分元気になったようねぇ・・・


殿は僕が守る!



くっ・・・手ごわいわね・・・長引けばこちらが不利・・・今日はこのくらいにしてあげるわ!


あ、介子推、殿はご無事?!


はい、先に馬車で避難されました。


・・・しかしこんな物騒では・・・今後は外に出る際も護衛が必要ですね・・・


そうですね。


さて、そんな事はありましたがこの後5年間、重耳は斉に滞在する事になります。しかし・・・


確かこの間に斉桓公が亡くなって国内で内乱が続くのよね?


ええ、内乱自体は斉孝公が即位する事で収まったのですが、このことで斉は国力が低下、重耳に兵を貸す余裕も無くなってしまいます。


ふむふむ・・・


紀元前638年  斉都・臨淄


・・・ねえ、殿は一体いつ晋に帰国するつもりなの?


女と酒に溺れさせれば人間だめになるといいますが・・・あの殿がすっかり今の立場に満足してしまっています。


斉も公子たちの跡目争いで国力が落ちて、殿に兵を貸せる状況ではないし・・・


どこか他の大国に身を寄せた方がいいのでは・・・


それがいいですね。このままでは再起もおぼつきません。


よし、なら無理やりにでも斉から連れ出しちゃおうぜ!


ですが、用心してください、もしこのことが知れたら斉が殿を殺してしまうかも・・・


絶対にばれないようにしないと。


では解散。チンチコール!


チンチコール!!!!!!!



ガサリ


侍女
た、大変な事を聞いてしまったわ・・・


奥方様、大変です。


ん?何かの?


ご主人様の部下の方々がご主人様を無理やり連れ出す相談をしています。


・・・よく知らせてくれたの。


では私はこれで・・・


(・・・あのものが誰かにしゃべると拙いの・・・)これ、誰か!


斉軍兵士
ははっ。


今出て行った侍女はわっちに無礼を働いた。すぐに無礼討ちにせよ!


は。


おい、待てっ!


え?


貴様、奥方様に無礼を働いたな!


え、ちょ・・・


無礼討ちにせよとのお言葉だ!


アッーー!?




その夜


・・・奥方に呼び出されるとは・・・一体何かしら・・・


おお、狐偃殿。よく来てくれた。さぁ、座ってくりゃれ。


はい・・・


公子を斉から連れ出そうとしているそうじゃな?


な?!何でそれを・・・


ほほほ、壁に耳あり障子に目あり・・・だが心配いたすな、公子に教える気はありゃせぬ。このままでは公子は駄目になってしまうからの・・・


・・・・・・


そこでじゃ、明日酒宴を開いて公子を酔い潰そうと思う。後はそなたたちの仕事じゃ。


奥方様・・・ありがとう御座います。


いやいや、公子のようなお人をこんなところに埋もれさすわけにはいかぬ。



次の日


さぁさぁ、殿。どんどん飲んでくりゃれ。


うん、ありがとー。・・・ううん、眠くなってきた・・・


zzz・・・


・・・そろそろじゃの。さぁ、公子を馬車にお連れいたせ!


奥方様、このご恩は忘れません。




こうして、狐偃達は重耳を酔い潰した後、斉を後にしました。


しかしこんなことされて重耳も怒らなかったのかしら・・・


翌日


う、うーん・・・ん?ここは・・・


殿、おはよう御座います。


ち、ちょっ!なんで私が馬車に乗っているの!?


殿に力を貸してくださる大国を求めて旅に出ました。


な、なんだってー!?  何で一言の相談も無く!?


奥方様も承知のことです。


むむむ・・・


全ては祖国晋と、そして殿のためを考えてのことです。


それはそうだろうけど、もし事が成就しなければ命は無いと思って!


結構です。もし事が成れば私を殺す必要も無く、事が成らなければ私は真っ先に死んでいるでしょうから。


・・・むー。


こうして、紆余曲折はありましたが重耳一行は斉を出国。曹へ向かいました。


ふむふむ。


この時の曹の君主は曹共公という人物だったのですが、彼は重耳一行を冷遇しました。


曹共公
曹国第十六代君主。在位年は前652〜618年。名は襄。昭公の子。晋の公子重耳の肋骨が一枚骨であることを聞き、重耳の湯浴みを覗いた。曹は小国であるにもかかわらず、共公が任命した大夫の数は三百人を越えていたという。暗君。


あらら・・・


しかも、それだけではなく・・・


于朗
曹の大夫。曹共公をそそのかして重耳に無礼を働いた。奸臣。


殿、ご存知ですか。あの公子重耳ですが、胸がぺったんこで有名だそうですよ。


へぇ、それは珍しい。ちょっと見てこよう・・・


浴場


ふんふ〜ん・・・いい湯だなぁ・・・


(ふむふむ・・・噂どおりぺったんこね・・・クスクス・・・)


(でしょう?くくく・・・)


ん?怪しい気配・・・熱湯でも食らえ!


うのわぁぁ!!?


あの声は曹共公!?なんて無礼な!さっさとこんな国からは出てしまおう!


なんですって?殿が晋の公子の入浴を覗いた?!うーん、これが後に災いとならなければいいけど・・・


釐負羈
曹の大夫。妻の言を聞き、曹を訪れた晋の公子重耳に夕食と璧を贈った。


釐負羈の妻
あなた、私も一度会いましたがあの公子は大変な方々です。もし帰国されて晋の君主になられたらわが国は一番に討たれてしまいます。


確かに、それはまずい・・・


我が家だけでも公子に無礼を詫びておく必要があります。


そうね・・・公子の一行に食料と宝壁を贈りましょう。


ん?釐負羈大夫から荷物・・・?一体なんだろう。


これは・・・食料と宝壁ですね。


・・・じゃぁ食料はありがたく頂くけど・・・宝壁は返しておいて。


・・・やはり、宝壁は受け取っていただけないのね・・・


こうして重耳一行は曹を後にしました。


今回はここまでかしら?


そうですね、次回か次々回で放浪公子編も終盤に差し掛かります。



なお、アイコンは以下のサイトから使用させていただきました。


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