萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その34

さて、今回で萌える春秋戦国史も34回目ね。


今回から晋文公の覇権を得るための戦いが始まるぜ。






さて、前回では晋文公が週王室の内紛を鎮めたところまで進んだわ。このことによって晋の威信が増したんだけど、これによってまた新たな火種が作られたの。


どういうことだ?


かつて中原諸国は覇者の国であった斉に従っていたんだけど、斉桓公が亡くなった後に斉は内乱で国力を落とし、覇者の座から滑り落ちたの。変わってその座に就こうとしたのが宋襄公なんだけど、彼も楚成王に破れて夢を果せずに亡くなっているわ。その分南方の楚が勢力を伸ばして今はほとんどの中原の諸侯が楚に従っている状態なの。


桓公の時代(紀元前679年〜643年)


斉側 鄭・衛・宋・曹・陳・蔡・許・魯


楚側 その他南方諸国

独立勢力 秦・晋



紀元前633年の状況


楚側 鄭・衛・宋・曹・陳・蔡・許・魯 その他南方諸国


独立勢力 晋・秦・斉


ふむふむ。


ところが、晋文公が即位し、周王室の内紛を鎮め、晋の国力を増大させた事で宋が楚と断交して晋に誼を通じようとしたの。


あれ、そんなことして大丈夫なのか?


いいえ、この動きに魯の臧孫辰がいち早く気づいて楚に注進したの。


臧孫辰
第12話より登場。魯の重臣。南方より勢力を伸ばした楚の力を見ていち早く楚に付く事を進言した。



紀元前633年 楚都・鄢


・・・というわけで、宋は晋に誼を通じようとしています。


楚成王
なんだと!・・・このまま黙っているわけには行かないな・・・よし、子文よ、兵を率いて宋を討て!


子文
第17話より登場。楚の国力を増大させた名宰相。


・・・いえ、私はもう既に年で遠征には耐えられません。これを機に引退させていただきます。


何、それは困るが・・・仕方が無い。今まで良くやってくれた。ところで後任の宰相には誰がいいだろう?


玉将がよろしいかと。


ふむ・・・(子文になら全権を授けてもよいと思うが・・・子玉は暴走気味で不安だな・・・)分かった。それから子玉を私の副将に任命しよう。鄭・陳・蔡・許にも兵を出すように通達!これより宋に進軍するぞ!


こうして楚成王に率いられた大軍が宋に進軍、首都商丘を包囲したの。



紀元前633年 宋都・商丘


宋に攻め寄せた楚の大軍勢



どひーーーーっ!物凄い大軍じゃないっスか!こんなんに勝てるかーーーー!


宋成公
宋国第二十一代君主。在位年は前636〜620年。名は王臣。襄公の子。父の死後、一時は楚に従ったが、晋の文公が即位した後は一貫して晋に味方した。


あーまー、そりゃ楚にしてみれば威信傷つけられたからなぁ・・・本気にもなるって。


公孫固
第20話より登場。宋襄公・成公に仕えた宋の大黒柱ともいえる重臣


そんなのんきなこと言ってる場合じゃないっス!どうするんですか!?


まぁ、別に今からでも降伏申し出れば・・・別にこの国が滅ぼされるまでは行かないだろうけどな・・・


じゃさっさとこうh


ただ、責任者のアンタは良くて追放、悪ければ殺されるだろうけど・・・まぁいいよな、一族の誰かが宋君の位は継いでくれるぜ。



こうなりゃ死ぬまで徹底抗戦っス!


早いなオイ!?ま、そういうことならちょっくら晋まで行って援軍を頼んで来るぜ。


お願いするっス!




紀元前633年  晋都・絳


・・・というわけで、援軍を頼みたい。このままじゃそう長くは持ちこたえられない。


晋文公
わかったわ。それに宋には昔助けてもらった恩もあるし・・・何とかしましょう。


済まない、助かる。






・・・とはいえ、どうしようか?楚軍は大軍、まともにぶつかっては・・・


郤縠
何、心配はいらないで。正面からぶつからなくても宋を救援する手はあるわ。


え?


今わが国から近い位置にある楚の属国としては曹と衛の2カ国があるけど、こいつら単独ならわが国の敵ではない。我が軍が曹と衛を攻めれば間違いなく2国は楚に救援を求めるはずや。そうすればおのずと宋の包囲網は解除される。それに楚軍を引き込めば迎撃するこっちが有利。


なるほど・・・では早速軍の編成を行って出兵しよう!


こうして、晋軍も三軍の編成を行った後。衛に向けて出陣したの。この時の編成は前回見たときと変わらないんだけど、この時晋文公の御者に荀林父という人物が任命されたわ。この人も後に出てくるから覚えていてね。


荀林父
晋の大夫。游敖の子、荀息の孫。後に・・・


さて、衛に向けて進軍した晋軍だけど、破竹の勢いで衛の城である五鹿城を攻め落としたの。ここで晋文公は斉に使者を送り、共同で衛を攻めようとしたんだけど、ここで大事件がおきるの。


一体なんだ?


晋軍の司令官である郤縠が急に病に倒れ、しかも危篤状態に陥ってしまったの。


晋軍陣営


元帥・・・体の調子はどう?


おお・・・殿・・・いかんわ、この戦いが終わるまでは持って欲しかったけど、どうやらここまでのようや・・・


そんな!これから楚の戦いという時に・・・


・・・大丈夫や、ウチの兵法は全部先軫に教えておいたわ・・・ウチが死んだ後は先軫を元帥にすれば大丈夫・・・


元帥・・・


後は・・・まかせ・・・ぐふっ!


・・・!元帥!



こうして、郤縠が死亡したことで、先軫が晋軍の司令官になったわ。各軍の指揮官は以下の通りよ。



中軍  将:先軫  副将:郤湊



上軍  将:狐毛  副将:狐偃



下軍  将:欒枝  副将:胥臣




この後、晋軍は衛都に向けて進軍したんだけど、その前に楚についていた魯より衛に援軍が送られたの。



魯都・曲阜


殿、衛より急報が届きました。晋軍が衛に向かっているとのことです!


・・・援軍を出さないわけには行かないわね・・・勝算は?


魯釐公
第18話より登場。魯国第18代目の君主。公子申。魯荘公死後の政変の後、季友によって擁立された。斉桓公の死後。楚に付く。


我が軍だけでは難しいでしょう・・・ですが、近くに楚軍の一部隊も来ております。衛軍の支援があれば、勝てるかと。


分かりました。では公子買!軍を率いて衛の救援に向かうように!


はっ!


公子買
魯の公子。魯軍を率いて衛の救援に向かい、晋軍と戦った。



晋軍陣営


先軫
・・・殿。


ん?どうしたの?


魯軍と楚軍が衛都に向かっています。合流されると面倒な事に・・・


確かに、それはまずい・・・合流前に叩ける?


上軍は衛都からの道を塞ぎます。中軍と下軍で魯軍を・・・楚軍は少数なので気にしなくても大丈夫。


わかった、すぐに出撃しよう!



一方魯軍では


よし、もうすぐで衛都に着くな・・・ん?あれは・・・!




郤湊
・・・見つけた。攻撃開始。


晋軍兵士
ウラーーーーーーー!!!!


な、なんだと!?


魯軍兵士
げぇっ!晋軍!


おい、逃げるな、戦え!・・・楚軍はどうした!


まだ遅れています、ここに着くにはまだ時間が・・・


く、くそっ!


敵は分散している。今のうちに叩く!


こうして、衛の救援に向かった魯軍は敗退したんだけど・・・


ん?何かあったのか?


それについては続きを見てね。



紀元前632年  魯都・曲阜


殿、大変です、衛に向かった我が軍が晋軍に迎撃されて大敗したとの知らせが・・・


な、なんですって!?まずいわ・・・知らない間に矢面に立たされて、しかも晋に怨まれては今後何をされるか・・・


・・・こうなれば公子買に死んでもらいましょう。晋には公子買は独断で晋に逆らったので殺したと言えばよろしい。


・・・楚には衛を守りきれなかったので将を殺したといえばいいか・・・



一方


・・・なんと言うことだ・・・このような無様な敗戦を・・・


・・・失礼します。殿からのお言葉をお伝えに来ました。


・・・?一体・・・


国を守るため、全責任を負って死んで欲しいとのことです。


な?!


つまりですね・・・



ざーんねんでした! アナタ騙されちゃったの!


・・・死んでもらいます!


う、うわぁぁ!?





さて、そんなこともあったけど魯軍を撃破した後、晋軍は衛の首都・帝丘へ向かったの。


オワタ\(^o^)/



衛都・帝丘


ううう・・・ど、どうしてこんな事に・・・


衛成公
名は鄭。在位前635〜前632、前630〜前600。衛の文公の子。文公が亡くなると、跡を継いだ。成公三年(前632)、晋が衛に道を借りて宋を救援したいと申し出たが、許可しなかった。


衛軍将校
殿、もはやそのようなことを言っている場合ではありません。攻撃を受ければ持ちこたえられませんぞ!


こ、降伏すれば、降伏すれば助かりませんか!?


・・・まず無理ですね。何しろ先代(衛文公)は放浪中の晋文公に無礼を働いています。それに以前晋がわが国にに通行許可を願った時も拒否したので、まず降伏しても許されないかと・・・



そんな・・・こんなことって・・・


ですから、早く脱出しましょう!


わ、わかりました・・・


こうして、衛成公は退位して出奔、衛は晋の勢力下に入ったわ。


今回はここまでかな?


そうね、次回も楽しみにしていてね。



今回の死亡者


郤穀
晋の大夫。郤氏の傍流ではあるが、無欲な人物で兵法の研鑽に力を注いでいた。本家の郤芮らとはおりあいが悪く、晋懐公を見限り、重耳側に寝返った。後に晋軍の元帥となるが、衛を攻撃中に病死する



公子買
魯の公子。魯軍を率いて衛の救援に向かい、晋軍と戦ったが、救援を果せずに責任を追及され殺された。



なお、アイコンは以下のサイトから使用させていただきました。


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