萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その40
さて、今回で萌える春秋戦国史も40回目ね。
さて、前回は晋の重臣4人が亡くなったところまで話が進んだわ。この後、晋で閲兵式が行われ、宰相も兼ねた中軍の将に狐偃の子である狐射姑、中軍の佐に趙衰の子の趙盾が任命されたわ。
それが、資料に記述が無くて・・・まぁ、今回は特に本筋に関わるわけではないからカットという事で。
紀元前621年 晋都・絳
士会
ふぅ・・・ようやく閲兵式が終わりましたね。ん?あれは兄上・・・何か様子がおかしいですが・・・
一体何が・・・ん、誰か来たようですね。聞いてみましょう。もし、少し話を・・・
ええ、さっき見たとき明らかに様子がおかしかったのです。何か知っていますか?
じ、実は殿は先日行われた閲兵式で士穀様と梁益耳様に中軍を任せようとしていたのです。
・・・と、殿にねじ込んで任命を変えさせたのです。それだけでなく、昇進を約束されていた先都様と箕鄭様も昇進を妨げられました。
梁益耳
晋の大夫。晋襄公に昇進を約束されたが先克に阻まれた。
さて、そのようなことがあって半年後、再び閲兵式が行われたの。なんとここで以前中軍の将に任命された狐射姑が降格され、代わりに趙盾が中軍の将に任命されたわ。
実は、晋襄公の守り役だった陽処父という人物がこの決定を変えさせたのね。もともとこの人物は趙衰の部下だった事もあって趙氏に与したようね。この後趙盾は晋の国法を改革し、国政を握るようになったわ。
陽処父
晋の大夫。もともと趙衰の部下で、後に晋襄公の守り役になる。趙盾を助け、彼を晋の宰相とした。
しかし、こんな短期間で降格されて、狐射姑は怒らなかったのか?
いいえ、狐射姑はこの後しばらく病と称して引きこもってしまったの。
ところが、これからほとんど時が経たないうちになんと晋襄公が急死してしまったの。一応太子はいたんだけど、何しろ年少だったから、重臣達が次の国君を誰にすべきか話合うことになったわ。
晋の大夫A
・・・まさかこのような時に殿が亡くなられるとは・・・
晋の大夫B
太子はいらっしゃるが、何しろまだ成人にもなられていない。このような時期であるから、先君文公の息子の一人を迎えてはどうだろうか?
趙盾
そうですね・・・・・・では、秦にいる公子雍を迎えるのがいいでしょう。彼は善を好む性格と聞いています。それに、彼を迎え入れれば秦との友好が回復するでしょう。
公子雍
晋の公子、晋文公の子。幼少時より秦に預けられ、養育されていた。
狐射姑
私は反対だね!それより陳にいる公子楽を立てたほうがいいよ!
公子楽
晋の公子、晋文公の子。陳に預けられ、養育されていた。
え?えーっと、公子楽の生母辰嬴は懐公と文公の2人に愛されたの、彼女の子を立てれば民は安定するね!
馬鹿な!辰嬴は夫人の地位が9番目ではないですか!それに彼は徳望に欠け、わが国に居辛くなって陳に行ったのです!我が国に迎え入れて民が安定するわけが無いでしょう!
数日後
先蔑
晋の大夫で、先氏の一族。この時晋の下軍の佐に任命されていた。
来ましたね・・・二人にはこれから秦に向かい、公子雍をお迎えしていただきたい。
し、しかしまだ廟議では決定は・・・狐射姑殿はどうされたのですか?
あなた達が気にする事ではありません。すぐに秦に向かってください。
やめたほうがいいの。今国には太子も襄公夫人もいるの。それなのに他国から公子を迎えても上手く行くはずは無いの。いっそ病気と称して辞退したほうが・・・
さて、実はこの時、既に狐射姑は陳に向けて公子楽を迎える使者を発していたの。
陽処父
ああ、すでに公子楽を迎える使者を出したらしい。このままでは・・・
晋国境地帯
公子楽
よし、ここを超えれば晋の国内だな。・・・ん、あれは・・・
この後、狐射姑の一族によって陽処父が暗殺されたわ。ただし、この刺客も直後に暗殺されたの。
この後、狐射姑は狄の地に逃亡、晋において狐氏は衰退することになるわ。
晋都・絳
ええ、公子雍はこちらに来るのを承諾してくれました。早速迎える準備を・・・
・・・それが、事情が変わりました。新君には襄公の太子を立てます。
そういえば・・・襄公夫人の穆嬴が太子を抱いて大夫達に我が子を君主の座につけるよう要請していると聞いたが・・・
・・・先君にどのような罪があるのですか。この我が子にどのような罪があるのですか。嫡子を捨てて国外に君を求めるとは・・・この子をどうされるつもりですか。
公子はまもなく秦軍に護衛されてわが国に向かうでしょう。どうしますか?
・・・私は公子雍と個人的に誓ったのだぞ。このようなことが通ってたまるか!
・・・公子雍がこちらに向かっていますか・・・仕方ないですね、迎撃しましょう!
こうして、趙盾は晋軍を編成して秦軍を迎撃する事にしたの。この時の編成は以下の通りね。
実はこの時、先蔑は秦軍に味方して趙盾と戦おうとたんだけど、趙盾が先手を打って中軍のみで秦軍を撃破してしまったの。この戦いは令狐の戦いと呼ばれるわ。
この後、先蔑は秦に亡命、表舞台から退場する事になるんだけど、この時士会も秦に亡命する事になるの。
今回の死亡、退場者
陽処父
晋の大夫。もともと趙衰の部下で、後に晋襄公の守り役になる。趙盾を助け、彼を晋の宰相とした。後に狐射姑の放った刺客に殺害された。
公子楽
晋の公子、晋文公の子。陳に預けられ、養育されていた。狐射姑の要請に応じて晋に向かったが、途中で殺害された。
狐射姑
狐偃の子。賈季と呼ばれる。趙衰らの死後、晋の宰相となるがすぐに降格された。後に晋襄公死後の跡継ぎ争いに敗れ、狄の地に亡命した。
公子雍
晋の公子、晋文公の子。幼少時より秦に預けられ、養育されていた。当初は晋襄公の後の君主になると思われたが、土壇場で趙盾らに妨害され、秦に逃げた。
先蔑
晋の大夫で、先氏の一族。晋の下軍の佐に任命されていたが、晋襄公死後の跡継ぎ争いに敗れ、秦に亡命した。
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