萌える春秋戦国史 「しゅん☆じゅう」 その35


さて、今回で萌える春秋戦国史も35回目ね。


今回も前回に続いて晋と楚の戦いを描いていくぜ。






さて、前回は晋文公が衛を攻略したところまで進んだわ。この後、晋軍は曹を攻撃したんだけど、当時の曹の君主共公は必死に防戦したためなかなか城が落ちなかったの。



ふむふむ。



紀元前632年   晋軍陣営



晋文公
うーん・・・曹都の陶丘を包囲したのはいいけど、守りが堅くてなかなか落とせないねぇ・・・


狐偃
それにどうも味方の士気も落ちているみたいね。どうしたというの?


郤湊
それが・・・


先軫
曹兵は倒した我が軍の兵士の死体を城壁に吊るしている。それを見た兵が怖気ついてしまっている・・・


!いやな事を・・・


このまま攻撃を続けても埒があかないわね、どうしよう?


・・・相手がその気なら、こちらにも考えがある。全軍を城外にある墓地へ移動させる!




一方、城内の曹軍


曹軍兵士
おい、晋軍が移動を始めたぞ。


ん?どこへ移動する気だ・・・?まぁいい、何度来ても返り討ちにしてやるさ。


おい、待て!晋軍が陣取った場所、あそこは・・・


墓地に陣取った?何をする気だ・・・・・・まさか!


いかん、城壁の死体を全て外へ出せ!晋軍に先祖の墓を暴かれるぞ!




晋軍陣営


胥臣
曹軍は我が軍の死者を棺に入れて外へ出したようです。


これで一安心だね。よし、上軍はこのままここに陣取って残りの軍で攻撃を再開!



こうして、晋軍は曹都への攻撃を再開、攻め落とす事に成功したわ。




曹都・陶丘


曹共公
・・・い、いつぞやは大変な無礼を働いてしまいました。どうかお許しを・・・


・・・私のぺったんこの胸が見たければ、今ここで見せようか?



ひっ・・・!あ、あれはここにいる于朗が言い出したことです!


于朗
ちょwwwwおまwwwww


・・・何か言いたい事は?


・・・むしゃくしゃしてやった。今は反省している




(無言でキルサイン)



ぎゃー!



さて、そんなこんなで晋軍は曹も制圧したの。


ふむふむ。



晋軍陣営


さて、曹と衛を制圧したのはいいけど・・・相変わらず楚軍は大軍、まともにぶつかるのは・・・


大丈夫・・・


何か手があるの?


・・・まず、秦と斉に使者を送って楚成王に兵を引くように働きかけてもらう。


そんな事言っても楚成王は受けないのでは?


確かに。でも、楚成王が兵を引かなければ秦軍と斉軍はこちらについて参戦するはず。


なるほど、こちらも連合軍で楚軍と戦えるね。よし、早速使者を送るように!



こうして、秦と斉から和睦の使者が楚成王に送られたわ。


宋 楚軍陣営


楚成王
何・・・秦と斉から宋の包囲を解くように言ってきた・・・?


子玉
何を馬鹿なことを・・・使者を追い返してしまいましょう!


いや・・・兵を引こう。


な!?何故ですか、我が軍はまだ負けてもいないのですぞ!


それはそうだが、ここで兵を引かなければ晋軍に加えて秦、斉も相手にしなければならない。宋を攻め落とそうにも援軍が来ると分かればますます守りを固めるだろう。消耗戦に引きずり込まれるのは避けたい。


ですが、このまま撤退しては中原諸国が支配下から抜け出てしまいます!


べつに構わぬ、どの道あの辺りはわが国には遠すぎるのだ。それにあの晋文公はなかなかの人物、時代の流れがすでに晋に向かっている以上止めることは出来まい。


何をおっしゃいますか!私に兵をくださればきっと晋文公に一泡吹かせてご覧に入れます!


・・・失敗したら?


悦んで軍法に服します。


・・・よかろう、では兵権を与える。


こうして、楚成王は帰国したのですが、代わりに子玉将軍が軍を率いて宋を攻撃したの。


戦況はどうなったんだ?


それが、宋軍はもうすぐ援軍が来るという事で必死に商丘を守ったのと、晋軍の別働隊が楚軍の後方を襲い始めた事で膠着状態に。


あらら。


楚軍陣営


くそっ、まだ商丘は降伏しないのか!


楚軍将校
は、敵の守りが堅く・・・それに我が軍の後方に晋軍が出没しているため、兵の士気が落ちています。


将軍、私に策があります。


宛春か・・・


宛春
楚の大夫。城濮の戦いの前に、子玉に策を伝え、晋軍への使者へ立つ。


このまま商丘を攻め続けても埒が明きません。それより晋軍と話をつけるのです。



晋文公に退位させられた衛成公と曹共公の2人を復位させれば宋の包囲を解くと伝えるのです。晋軍が和解に応じれば一挙に曹、衛、宋の3カ国に恩を売る事が出来るでしょう。


いや、だが王には必ず勝つと申し上げたし・・・


勝ち目の無い戦いを続けるより引き分けに持ち込むべきです。


うむ・・・わかった。ではお前が晋文公への使者となってくれ。


わかりました。


曹 晋軍陣営


・・・というわけで、こちらが将軍からの書状です。


わかった、相談するので少し待つように。



・・・というのが向こうの条件なんだけど・・・


何を厚かましいことを!それではこちらが宋を救援しただけなのに楚は2国を救った事になるじゃないの!


・・・その使者を拘束しましょう。


え!?


いえ、軟禁するだけ・・・こうすれば子玉も怒ってこちらに突っ込んでくる。あと、曹共公と衛成公を許す代わりに楚への絶縁状を書かせて送りつける。最後に秦と斉に援軍を要請・・・楚軍が突っ込んできたところで勝負をつける。


よし、そうしましょう!


・・・待たせたね。


いえ、それよりご返答は・・・


返答は・・・こうよ!捕らえなさい!


晋軍兵士
ははっ!


な なにをする きさまらーーー!!



宋・楚軍陣営


楚軍兵士
将軍!一大事です!


どうした!


晋軍に宛春様が捕らえられました!それに衛成公と曹共公から絶縁状が・・・


な、なんだと・・・おのれ・・・こうなれば晋軍を叩き潰してくれる!


こうして、子玉は楚軍を率いて北上、晋軍のいる曹へ向かったの。


ふむふむ。


曹 晋軍陣営


殿、作戦通りです。楚軍がこちらへ向かってきました。


このままここで迎え撃つ?


いいえ、まだ秦軍も斉軍も到着していません。もう少し敵を引き込みます。決戦場は・・・衛領内の城濮になるかと。


わかった。では軍を移動させよう!



・・・今回はここまでかな?


そうね。次回は春秋戦国時代の歴史上に残る城濮の戦いを描いていくわ。


それでは、また次回に。



今回の死亡者


于朗
曹の大夫。曹共公をそそのかして重耳に無礼を働いた。後に晋と楚の戦いの際晋軍に捕らえられ処刑された。




なお、アイコンは以下のサイトから使用させていただきました。


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